中国新聞2002.06.17より                                     

徳山出身の村井喜右衛門
長崎で沈没オランダ船引き揚げ

漁師の偉業紙芝居に

 江戸時代に長崎でオランダの沈没船を引き揚げた徳山出身の、村井喜右衛門を広く知ってもらおうと、徳山市櫛ケ浜の地域活性化グループ「華雲塾」(青木義雄塾長、15人)が業績を紹介する紙芝居を作った。お披露目は15日夜、櫛浜コミュニティ−センターであり、地元郷土史会や子ども育成連絡協議会のメンバーら約30人が観賞した。

披露
村井さん(左)が描いた紙芝居を、三宅さんが朗読した披露会

住民グループ完成披露
10部印刷寄贈へ

 喜右衛門は1752年、櫛ケ浜村(現在の徳山市櫛ケ浜)に生まれた漁師。イワシ漁の指導で長崎に移った。1798年、住民600人を率いて沈没したオランダ船の引き揚げを開始。木のやぐら組みや滑車を利用するなど当時としては珍しい装置を作って翌年、成功した。功績は中国、西洋にも書物で紹介された。
 紙芝居は、23枚の絵で構成。喜右衛門の子孫で、櫛ケ浜在住の村井周作さん(73)が彩色した南画で描いた。子どもでも楽しめるよう、ほのぼのした雰囲気を出し、喜右衛門の生涯を振り返っている。お披露目では、物語を考えた近くの主婦、三宅阿子さん(61)が朗読した。
 沈没船引き揚げの舞台になった長崎県香焼町では今も、紙芝居を演じたり、中学生が人形劇をしたりと、喜右衛門がよく知られているという。徳山市の子どもたちにも広め業績を伝えようと、青木塾長が村井さんに制作を依頼した。
 紙芝居を見た青木塾長は「子どもにも分かりやすい内容。絵も楽しい」と満足していた。紙芝居は10部印刷し、幼稚園や小学校に寄贈する。